シオン【完結】
「遼佑ーーーっ」
その時、聞こえた母親の声。
それに肩を揺らす。
一人暮らししてからはあまり帰省もせずに、顔を合わす事が減っていた親。
たまにメールで来てたけど、返信もぼちぼちだった。
「ちょっと、遼佑!?」
ドタドタとうるさい足音と共にバタンと扉が開く。
それと同時に母親が中に入って来た。
「あら?起きてたの?」
ぼーっと突っ立てる俺を見て、目を真ん丸にした母親。
「なんだ、てっきり寝坊かと思ったわ。
ほら、祥ちゃん来てるわよ。早く着替えなさい」
「え」
同じサッカー部だった祥太郎。
そうだ、朝練一緒に行ってたんだ。
…結構、忘れてるモノだな。
「りょー」
その時。
外からそう声がして、俺の心臓が音を立てる。