シオン【完結】
……まさか。
“りょうっ”
そうやって、祥太郎は俺を呼んでいた。
体が震える。
ゆっくり一歩一歩、窓へと進む。
カーテンを横に引いて、窓からその人物を見た俺は息を飲んだ。
俺に気付いた祥太郎が、満面の笑みで手をぶんぶんと振っている。
「……っ、祥、た…」
「早くーーー遅刻するーー」
また大きな声でそう言うと、祥太郎は走るジェスチャーをして俺を急かしていた。
ぷっと吹き出しながら、窓を開けると
「祥太郎、待っててー」
俺はそう声をかけて急いで制服に着替えた。
階段を駆け降りると、母親の作ってくれたおにぎりを口に頬張り、
「いっへひまふ」
と言いながら靴を履いて外に飛び出す。
そこで待ってた俺の親友。