シオン【完結】
「よ!りょー走るぞ!」
「ほうよ!」
「何言ってるかわかんねー」
おにぎりがまだ残ってて、はっきりと発音出来ない。
それに祥太郎が笑う。
ああ、本当に祥太郎だ。
日に焼けた肌。
真っ黒の短髪で、切れ長の瞳。
カチっと着てる制服。
見た目はいかにも優等生って感じだ。
まあ、実際はサッカーバカだったけど。
ツーンと涙腺が刺激されて、鼻が痛くなるけど、祥太郎に不思議がられるから上を向いてごまかした。
「なあ、祥太郎」
「んー」
「今日って何月何日」
「はあ?」
学校に到着して部室に向かってる時に、そう尋ねると祥太郎は訝しげな顔を見せた。