シオン【完結】
懐かしい教室。
そこに足を踏み入れるだけで、少し感動する。
卒業してから本当に来てないからなあ。
しみじみと自分の机に座って、周りを見渡す。
すると、そんな俺に祥太郎が吹き出した。
「何、キョロキョロしてんの!お前」
「え」
「探しモン?」
「いや、ちょっと懐かしいな、と」
「はあ?昨日も学校だったじゃん」
「そうなんだが」
「ぶは、本当に今日のりょうおかしー」
ケラケラと笑いながら、祥太郎は腹を抱えている。
「祥君」
その後ろから、祥太郎に声をかけるのは久美だった。
「何ー?」
祥太郎は笑顔で振り返ると、久美と話している。
その時、バチっと俺と目が合った。