シオン【完結】
祥太郎とこうやって過ごしてた時は。
これが当たり前だと思ってたんだ。
当たり前に喋ってたし。
当たり前に笑い合ってたし。
だから、こんな時間がとても尊いモノだったんだって。
今となればわかるんだ。
この何気ない時間が、実は凄く大事だったんだって事。
どうしようもなく、平凡な日常が幸せって事を失ってからやっと気付く。
人間って、悲しいよな。
失ってからでないと気付けない。
それを経験した人が、ご丁寧に教えてくれるのに。
実行出来ない人が大多数なんだ。
俺は、今目の前にいる祥太郎の笑顔を。
もっともっと心に焼き付けようと思った。
例え、これから祥太郎の事故を起こさない様に動こうとしてもだ。