シオン【完結】
断るタイミングを完璧失った俺は仕方なく、祥太郎について行きながら教室に向かう。
教室は誰もいなくて、俺と祥太郎の二人。
自分のロッカーから制服を出すと、二人して着替える。
その時だ。
「なあ、どうして久美の事避けてんの?」
唐突に、そうやって祥太郎が俺に尋ねた。
それに、ドキンと心臓が跳ねる。
「今日、まじでおかしいよな。
久美の事すっげえ避けてる。
昨日まで普通に喋ってたじゃん」
「…そんな事ないって」
動揺を隠しながらそう答えるけど、祥太郎の顔は真顔のまま。
一切笑わない。
「久美が遼佑に何かしちゃったかなって気にしてたぞ」
「いや、体調悪かっただけだよ」
「本当に?それにしても、さっきお前一人で帰ろうとしてなかったか?」
う。そこまでバレてたわけ。
祥太郎ってこんな鋭かったっけ。