シオン【完結】
“生死を変えようとしたら、必ず大きな代償がある”
その言葉をふっと、思い出して心臓がドクンと鳴る。
なんだよ、代償って。
…もしかして、久美が彼女にならないって事だろうか。
今の俺にとったら確かに、最愛の彼女だ。
もしも、それが代償だと言うのなら。
…俺は喜んで受けてやる。
祥太郎と、久美の笑顔を見るのが俺は嬉しいんだ。
例え、二十歳になった時に思い出して、久美を想って泣いたとしても。
俺は二人を邪魔するつもりはない。
もう、俺だけに笑いかける事がないとしても。
そう心に強く想った時、母親の声がする。