シオン【完結】

亡くなったのは中学二年の時。

運転を誤ったトラックに突っ込まれて即死。
その場にいた久美は、少し離れた場所だったお陰か軽傷で済んだ。


久美は目の前で最愛の彼氏を失った。



そして、俺も目の前で親友を失った。


よく祥太郎と久美の三人でつるんでたけど、その日以来久美と言葉を交わす事が減り、卒業してからは疎遠になった。
久美は暫く塞ぎこんでたみたいだし。


その、久美と再会したのが祥太郎の三回忌の時だ。
卒業してたし、来る人数もまばらで。

見知った顔の中に久美を見つけた時は相当驚いた。


四十九日にも来てなかったし、その話を出す事すら憚られていたから。



「よし、終わり」


久美はそう言ってから俺を見て微笑むと、行こうかと前を歩く。
それに俺は黙って着いて行く。


「本当はケーキとかも買いたかったよね」

「まあな。でも、毎回買うの悩むよな」

「そうだね、毎年悩む」


今日は祥太郎の命日。
そして、明日が祥太郎の誕生日だった。


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