シオン【完結】
「ちょっとお茶しない?奢りたいし。付き合ってくれたお礼!」
「いや、いいよ。そんなん」
「いいじゃん。行こ!」
一緒にいて、クラスの奴に見られるのが心配なんだけどな。
でも、久美の気持ちも無下には出来ないし。
迷っている俺の腕を引っ張ると、久美は強引にデパートの中にある喫茶店へと入って行く。
少しだけなら、いいか。
息をつくと、俺は久美の後ろに続いた。
店員に案内されて席に着くと、メニューを広げる。
「遼佑、何にする?」
「ん~。俺紅茶だけでいいや」
「え。食べないの」
「いらね」
「ケーキ美味しいのに」
「…じゃあ、このブルーベリータルト」
「はいはーい。私も決めたっと。あ、すみませーん」
店員さんを呼び止めて、注文をする久美を見つめた。
…久美って変わらないな。
大きくなっても、このまんまだ。
俺と付き合って来た、久美。そのまんま。
どこが?って聞かれたら、うまく答えられないけど…変わらない。