シオン【完結】
注文を終えてから俺の視線を感じた久美が、口を尖らせる。
「てか、さっきからじっと見過ぎ。何かついてる?」
「いや…」
「まさか、青のりついてた?」
顔を青くしながら、バッと口元を隠す久美。
その様子が面白くて、俺はケラケラと笑う。
「何か食って来たのかよ」
「うん。家にたこ焼きあったからさ」
「それでまたケーキ食ったら太るぞ」
「うっさい。バレーで消費してるから大丈夫だもん!」
「あはは、青のりはついてないから平気」
「そう?よかったあ~」
あからさまにホッとした久美に、俺は吹き出した。
「ああ、笑い過ぎ!遼佑!」
「あはは、ごめんごめん、でも、くく、ぶはっ」
顔を真っ赤にして頬を膨らます久美。
だって、そんな久美も俺のよく知ってる久美だったから。