シオン【完結】
家に到着した俺は、ただいまと言ってから靴を脱いでると見覚えのある靴があった。
すぐに母親の声がする。
「祥ちゃんが来てるわよ~」
…そういえば、祥太郎来るって言ってたな。
俺は返事せずに自分の部屋へと向かう。
プレゼントは見つからない様にバッグの奥底に忍ばせて。
扉を開けると、そこにはベッドに寝転んでる祥太郎がいた。
お前の部屋か。
「お帰り~」
「ただいま」
「遅かったな」
「そうか?まだ七時だけど」
「ジャンピング勝手に読んでる」
…忘れてた。
買って来なくて良かった。
買ってたんだな、今の俺。
「まじで、俺泣きそう」
「わかる」
ジャンピングを読みながら、確かに祥太郎は目をウルウルとさせている。
オサムがケガして、だけどそのまま試合に出るってシーンだ。
“未来”よりも、“現在”が大事だって。
そう、明言するんだ。