シオン【完結】
言葉なんて出す暇なかった。
ただ、力が抜けてへたり込んだ俺は呆然と変わり果てた親友の姿を見ている事しか出来なかったんだ。
久美は半狂乱で、祥太郎の元へ駆け寄ると叫びながら意識を失っていた。
あまりにも衝撃的だったから、前後の記憶は曖昧だ。
全てを覚えている様で、忘れている。
そんな感じだ。
無理に思い出したくないから、それでもいいけど。
出来たら消え去って貰いたいし。
久美と別れてから、再度、図書館に来た俺はレポートの続きをやった。
どうにか終えた俺は、帰路につく。
途中、コンビニで弁当を買った。今日の夕飯。
一人暮らししてるから、もちろん帰宅しても誰もいない。
電気を点けて、弁当を食べると早々に俺は眠りに就いた。