シオン【完結】
ダブルバースデー
それが起きたのは、本格的な冬の寒さが訪れてからの事だった。
レンタルビデオでのバイトを終えた俺は、お疲れ様でしたーって他の従業員に挨拶してから外に出る。
それから携帯を確認した。
久美からのLINE。
【明日家に行っていい?
ダブルバースデー何するか考えよ!】
それと、可愛らしいスタンプ。
思わず、口角が上がった。
【いいね、明日バイトないし、来るのいつでもいいよ】
返信すると、携帯をズボンのポケットに仕舞う。
その時、びゅうっと風が吹いて身を震わせた。
「さぶっ」
既に季節は冬だ。
ダブルバースデーとは。
俺と久美の誕生日が一日違いって事から始まった。
二日連続で祝うんじゃなくて、合同で祝おうよって。
久美は久美でケーキ屋でバイトをしていた。
だから、最初の年にお互いの予定が合わなくて、そうしようって決めた。