秘密
その後もパラパラとめくりながら、加賀美さんを探す。


「あっ!」

これそうじゃない⁈

文化祭の準備風景に写っているの!

「わー。本当に加賀美さんだぁ」

記憶の片隅にはあったけど、こうして写真で見ると変な感じ。


「加賀美さんが笑ってる…」


私の中の加賀美さんのイメージって、怒ってる顔だからなぁ。


そうか…文化祭の頃に来てたんだな、実習。



うーん。

でも、これを見ても特に思いださないなぁ。


たしか、うちのクラスは劇をやった。

皆で一致団結して、金賞を貰ったんだ。

加賀美さんも準備をかなり手伝ってくれてて。







『加賀美先生!材料足りなくなっちゃったんで買出し行きませんか?』


クラスの派手目系の女子、二宮さんが加賀美先生にすり寄っていく。


『えっ?もうないの?しょうがないなぁ。じゃあ、ちょっと行くか…』


『うーわ。二宮さん、大胆だねぇ。』

『えっ?何が?』


文化祭の準備の為、放課後に残って私と親友のさやかは、黙々と自分が担当している衣装を作っていた。


『材料ないって、あれ、きっと嘘だね。加賀美先生と2人になる口実って、バレバレだよ』


『えっ…そうなの?二宮さんって、加賀美先生のこと好きなの?』

私の一言に、さやかはやれやれといった感じ。


『クラスで気づいてなかったの、葵ぐらいじゃない?加賀美先生モテるからねぇ』


『へー』


『一色』


『えっ?』

急に話しかけられ、教壇の方を向くと加賀美先生が私を呼んでいた。


『何でしょうか?』

終わてて思わず席を立つ。



『衣装係って、何か足りないものあるか?ついでだから、買ってくるよ』


『えっと…足りないもの…』




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