秘密
「一色 葵です…」


何故かジッと見つめられる。

なんなの?

そんなにマジマジと見られると怖いんですけど!


恥ずかしいというより、加賀美さんの視線が痛かった。


「一色葵…3年2組」


「えっ?」


「……ちょっと、こっち来て」


はっ?

加賀美さんが突然、立ち上がって私の腕を掴んだ。


そしてそのまま、立ち上がらせて引っ張られていく。


何なの⁈


されるがままに店の外に出て行く。


「なんですか?確かに青藍高校出身ですけど、加賀美さんとは被ってないですよ?」


加賀美さんのことなんて、知らない。

今日、初めて会った。



なのに、そんなむすっとした顔をするわけ?



「俺はお前のこと知ってるよ」

「えっ?」


知ってる?私の事を?


「加賀美さんって、いくつですか?」


「27…」


ってことは、私が3年の時は大学生?


「被ってないじゃないですか」


すると、加賀美さんは少し距離を詰めてきた。


な、なに?

近いんですけど⁉︎


グイッ。

「わっ!」


気づいた時には目の前に加賀美さんの顔があって、そのまま唇が触れた。


「⁈」


「…俺たち、合ってるよ昔。
葵ちゃん」


加賀美さんは、それだけ言うとさっさと店に戻っていく。

その背中をぼっーと見つめる。

「あっ、思い出したら連絡しろよ」


そして、店の中に入って行った。

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