初恋の結晶
今さらだけど、
僕の名前は 市原 伊織。
周りからは、
平凡すぎる名前、と言われる。
平凡で悪かったね!
「…にしても」
どうして、
図書室に来てまでも寝てるのかなこの子は。
「梓」
「ん~…」
聞いてないね、絶対。
「起きないと、アイスなしにするよ」
「…っ!おはよう、伊織」
「うん、おはよう」
何事もなかったように、
僕たちは挨拶して勉強を再開した。
「ねぇ、この問題どうやるの?」
「…待って。これ、中1でもできるよ?」
「…え??」
「……。」
「……。」
うん、そっか。
そうだよね、うん。
「…じゃあ、数学はやめて理科にしよっか」
「…うん」
言うまでもなく、
5時間近くの勉強は想像通り進まなかった。