博士と秘書のやさしい恋の始め方
新たな職場となるラボは3号棟の5階。
1階の正面から入って左手奥のエレベーターホールへ向かう途中――ふと目に入った光景が気になった。
ガラス張りの壁の向こう、建物の裏手にある喫煙スペースに――白衣の男性と、サバ柄の猫が一匹。
立ち尽くしたまま猫を見つめる男性と、まるで「はっ」と驚いたような恰好のまま男性をじっと見据える猫。
両者の間の距離はおよそ2メートルくらいだろうか。
どちらも微動だにしない、まさにダルマさんが転んだ的なこの状況。
ちょっと……ううん、すごく気になる。
対峙する白衣とサバ柄。
なんだか、おもしろいかも?
私は気配を悟られぬよう気をつけながら、そーっとすこーしだけ緊迫の現場(?)に近寄った。
白衣にサンダル履きということは、男性はこの研究棟の研究員か。
あるいは、技術スタッフか。
涼やかで端正な顔立ちに、眼鏡がとてもよく似合っている。
長身なのだろうけど、白衣のせいか姿勢がよいのか、すらりときれいに伸びた背筋は凛として堂々とした印象を与えた。
1階の正面から入って左手奥のエレベーターホールへ向かう途中――ふと目に入った光景が気になった。
ガラス張りの壁の向こう、建物の裏手にある喫煙スペースに――白衣の男性と、サバ柄の猫が一匹。
立ち尽くしたまま猫を見つめる男性と、まるで「はっ」と驚いたような恰好のまま男性をじっと見据える猫。
両者の間の距離はおよそ2メートルくらいだろうか。
どちらも微動だにしない、まさにダルマさんが転んだ的なこの状況。
ちょっと……ううん、すごく気になる。
対峙する白衣とサバ柄。
なんだか、おもしろいかも?
私は気配を悟られぬよう気をつけながら、そーっとすこーしだけ緊迫の現場(?)に近寄った。
白衣にサンダル履きということは、男性はこの研究棟の研究員か。
あるいは、技術スタッフか。
涼やかで端正な顔立ちに、眼鏡がとてもよく似合っている。
長身なのだろうけど、白衣のせいか姿勢がよいのか、すらりときれいに伸びた背筋は凛として堂々とした印象を与えた。