博士と秘書のやさしい恋の始め方
土日も気分転換できないまま家で悶々とすごした。
幸いというか、週明けの今日から木曜日まで田中先生は出張で不在。
誰かの不在を喜ぶなんて卑劣だなぁと思わなくはないけれど、先生と顔を合わさずにすむのは気楽といえば気楽かも。
けど、やっぱり――先生がいないラボは、なんだか淋しくて味気ない。
まったく……いればいたで気になるし、いなきゃいないで気になるし。
結局どうしたって頭から離れないのだから。
月曜日の午前中は何かとばたばたしがちなのだけど、今日は特に忙しかった。
ちょっと出遅れたと思ったら既にお昼の食堂は大混雑。
トレイを持って、適当な席を探してあたりをきょろきょろ見回していると、どこからか声をかけられた。
「山下さーん。こっちこっち」
手を振って「ここ、ここ」を呼んでくれたのは三角さん。
そして、四人掛けのそのテーブルにはもう一人、私が見たことのある女性が座っていた。
あの人……喫煙室で田中先生と話していた人!?
まさか三角さんの知り合いだったなんて。
ど、どうしよう!? って、どうしようもないか……。
声をかけてもらって無視ってわけにはいかないし。
この状況であちらへ行かない理由はないし。
私は内心かなり困惑しつつ、ふたりのいる席へ歩みを進めた。
「ありがとうございます。どこも空いてなくて困っていたので助かりました」
お礼を言いつつトレイを置いて席につく。
空いている二つの席のうち一つは荷物が置かれていて、私は自動的にその人の正面に座るかたちになった。
「まえに7階にママ友がいるって言ったことがあったじゃない? 彼女がその沖野先生。今日は一緒に食堂の新メニューを食べようってことでね」
幸いというか、週明けの今日から木曜日まで田中先生は出張で不在。
誰かの不在を喜ぶなんて卑劣だなぁと思わなくはないけれど、先生と顔を合わさずにすむのは気楽といえば気楽かも。
けど、やっぱり――先生がいないラボは、なんだか淋しくて味気ない。
まったく……いればいたで気になるし、いなきゃいないで気になるし。
結局どうしたって頭から離れないのだから。
月曜日の午前中は何かとばたばたしがちなのだけど、今日は特に忙しかった。
ちょっと出遅れたと思ったら既にお昼の食堂は大混雑。
トレイを持って、適当な席を探してあたりをきょろきょろ見回していると、どこからか声をかけられた。
「山下さーん。こっちこっち」
手を振って「ここ、ここ」を呼んでくれたのは三角さん。
そして、四人掛けのそのテーブルにはもう一人、私が見たことのある女性が座っていた。
あの人……喫煙室で田中先生と話していた人!?
まさか三角さんの知り合いだったなんて。
ど、どうしよう!? って、どうしようもないか……。
声をかけてもらって無視ってわけにはいかないし。
この状況であちらへ行かない理由はないし。
私は内心かなり困惑しつつ、ふたりのいる席へ歩みを進めた。
「ありがとうございます。どこも空いてなくて困っていたので助かりました」
お礼を言いつつトレイを置いて席につく。
空いている二つの席のうち一つは荷物が置かれていて、私は自動的にその人の正面に座るかたちになった。
「まえに7階にママ友がいるって言ったことがあったじゃない? 彼女がその沖野先生。今日は一緒に食堂の新メニューを食べようってことでね」