博士と秘書のやさしい恋の始め方
しかしながら――それでは、ラボでの彼女のあの様子はいったいなんだったのだろう? 

避けられている、距離を置かれている、そう感じたのは俺の気のせいか? 

いや、そんなことはあるまい。

彼女の態度は明らかにおかしかった。

やはりどう考えても不可解で、ぼんやりとした不安と疑問が残る。

理由が気になる。とても気になる。

同じようなことは勘弁願いたいし、俺に落ち度があったのなら謝りたい。改善もしたい。

更新されたプロフィール画像のキノコさんは、俺がプレゼントした貝殻のネックレスをつけている。

それを見るたび思わず嬉しさに頬がゆるむ。

けれども――キノコさんも可愛いが、やはり本物の(?)彼女に会いたい。

山下さんと会って話しがしたい。そう切実に思いながら、俺は明日を待ちわびた。
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