裏アリ男子にご注意ください!
なんて今ドキの女の子みたいなことを思いながら、あたしは電車に乗った。
うわー、やっぱ人がたくさんいるー……。
そして、電車が出発するとき。
「……あれ?」
見ると都築くんがいなくて。
ドッ、と激しく人の波が揺れた。
「わっ……」
たくさんの人に押しつぶされそう! ここはプレス工場じゃないのに!
「おふっ……」
だけど電車の中はプレス工場と化していて、あたしはおじさまたちの中にひとり放りこまれてしまった。しかもすごい圧迫感。
そして、押された影響でなんだか奇妙な声を発してしまう。
……どうしよ、都築くんと離れちゃった!
周りを見ても都築くんはいない。
あたし、どこでおりるかも聞いてないしどうしよう……と、思っていると。
「……ったく、どんくさいな。離れんなよ」
頭上から、そんな声が。
見上げるとそこにあったのは都築くんの顔。
「つ、都築くん!」