裏アリ男子にご注意ください!
考えごとをしながら歩いていたらもう倉庫についていて。
ガラッと重たい扉を横にスライドさせてあける。
ホコリっぽい中に人影がみえた。この姿、都築くんだ。
「……都築くん?」
あたしはだれにも見つからないよう警戒しつつ中に入った。
「あ、澤上さ」
都築くんがあたしをみる。
「遅いね。さっきからもう3分と56秒も待ってたんだけど」
いつもならこんなの、ただのイヤミか皮肉にしか聞こえないのに。
……いまはなんだか特別。
都築くんが珍しく優しく笑ってるから。
なんだかそれさえも優しい言葉に聞こえてくる。