裏アリ男子にご注意ください!
「姉貴どうした!? 泥棒か!?」
弟の和也は血相を変えてあたしに言う。
よく見ると、和也は手に長い棒のようなものを持っていた。
そこであたしは気づく。
なるほど……和也はあたしが叫んだり壁を蹴っちゃったりした音を聞いて、泥棒にでも入られたのかと思ったのか。
そういえばさっきあたしが蹴っちゃった壁は、和也の部屋とあたしの部屋を隔てる壁だ。
「……ぷっ」
あたしはそこで、思わず笑ってしまう。
「どうしたんだ!? え、もしかして、泥棒じゃない、とか……?」
頷くと、和也は恥ずかしそうにした。
「いや、ごめん! ちょっと色々あってさ、うるさくしちゃったの。あ、壁は間違えて蹴っちゃっただけだから!」
そう言うと和也は、どうやったら壁なんか間違えて蹴れるんだよ、と笑った。
「ホント鈍臭いよな、姉貴。ったく心配させんなよ!」
和也は恥ずかしさからか、どこかムキになっていた。