裏アリ男子にご注意ください!
……っていうか!
「あたしのことなんて気にしなくてよかったのに! ごめんね! 早く忘れもの取りに行った方がいいよ!」
その格好、部活から抜け出してきたみたいだし、早くしなくちゃ!
たしか都築くんはサッカー部のエースだってクラスの女の子たちが言ってたから、都築くんがいなかったらみんな困っちゃうはず……。
あたしは都築くんのジャマにならないよう、さっさと荷物を運ぼうと歩く。
「ダメだよ澤上さん。それ重いでしょ? しかも大変そうだし。手伝うから」
都築くんはあたしの手から全部資料を取った。
「そんな……あたしがやるから大丈夫だよ?」
なにも、都築くんがそこまでしなくても。あたしの仕事だし……いや、手伝ってくれるのはうれしいけど、申し訳ないし……。
「いいよ。力のいる仕事は得意だから」
都築くんはニッコリと笑って資料を持ちながら歩いていく。
さすがに全部持ってもらうのは申し訳なくて、あたしは資料の半分を持つことにした。