裏アリ男子にご注意ください！

「さ、澤上さん？　なんか顔色悪いけど大丈夫？」



スマホを見ながら固まっていると、心配そうに訊かれた。



あたしは大丈夫、と答えてあわてて返信する。



【都築くんの悪口なんて考えてません】



これでもう既読無視じゃない！



あたしはホッとため息をついてスマホをカバンにしまった。



「あの、それでさ……」



不意に、安田くんが口を開いた。その様子はどこか恥ずかしげだ。



「うん、なに？」



言葉を返すと、安田くんが言った。



「俺のこと、安田じゃなくて下の名まえで呼んでくれない？」



「……へ？」



いきなりのことに、間抜けた返事をしてしまった。