裏アリ男子にご注意ください!
和也は不思議そうに呟いて、首をかしげた。
そして数秒後、勢いよくあたしに尋ねる。
「姉貴、あの人だれなの!? まさか姉貴の彼氏!?」
「……ブッ」
和也の唐突な質問に思わず吹き出してしまった。
もしも今、お茶とか飲んでたら絶対に吹いてたよ! それくらい驚き!
「か、彼氏じゃないよ! あの人はただの知り合いだよ」
「そ、そうか……」
和也はホッと息を吐き、微笑んだ。
「だよな、鈍感な姉貴に彼氏とかできるわけないもんな〜」
……ムッ。
「失礼な。あたしは鈍感じゃありません」
そう言っても和也はケラケラと笑うだけ。
「い、いいもん! もう行ってくるから!」
なによ、失礼ね! 一応あたしがお姉ちゃんなのにっ!
まあ、たしかにいろいろと抜けているところはあるんだけど……。
あたしは怒りに足を任せてドスドスと音をたてて歩いた。
するとうしろから「クマみたいだよ!」という声が聞こえた。
もう、また和也はイヤミを言う……そう思ってうしろを見たら、そこにいたのはお母さんだった。
ふふふと口に手をあててイタズラっぽい笑みをうかべている。
その様子から、冗談ってことはすぐわかるけど……。
ちょっとふたりともひどくないですかー!?