裏アリ男子にご注意ください!



珍しい! 今すぐ動画撮影したいぐらい!



都築くんがこんなに優しいの、もう2度となさそう。



どうかその上機嫌をたもってくれますように!



あたしたちは無言のまま歩き、駅についた。



あたしの家から駅はけっこう近くて助かるんだよね。



でも、駅はいつも人でごった返している。今もそうだ。休日だからか、特に学生が多い。



うっかりすると迷子になっちゃいそう……。



「迷子にならないでね。面倒だから」



「は、はい」



あたしが思っていることを察したように都築くんが言った。



そして。



「……ん」



都築くんがあたしの目の前に手を差しだした。



手のひらを見せて、はい、と言う。



「……へ?」



なんなんだろう、この手。



なにか欲しいのかな?



しばらく悩んで、あたしはバッグからアメを取りだした。



イチゴ味のおいしいアメ。



甘いもの好きだから、いつも持ちあるいてるんだよね。



あたしはそのアメを都築くんの手にのせた。



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