silve shining
「…考えれば考えるほど分からないことだらけだわ…。」

 麗奈がそう呟いた。

 私は俯いていた顔を上げる。

「そうだね。でも、分かっていることは、ある。…私は、完全な龍では無いと言うこと。私は、龍であるお母さんに育てられた。だけど、父の方は何者だったのか分からない。胡桃さんでさえも、分からない。

私は、中途半端に龍の血筋を受けてしまったんだよ。

今のこの姿だって、本当の姿じゃない…。」

 最後の言葉だけ、を小さくして喋った私。

 その言葉は、麗奈には届かなかったようだ。

「葉月…。」

 麗奈が、私を見つめる。

 漆黒の、綺麗な、それでいて強い瞳で。


 私には「黒」と言う色が無い。


 




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