一瞬からはじまる。


「♪」

「愛衣、何ぼけっとしてんの?
 はやくいくよー」


愛に呼ばれてハッと我にかえる。


「はーい」


中学からの親友の笹口愛(ササグチ アイ)。
見た目の割にしっかり者。


あ、これ言うと怒るんだった。
やば。


「何?考え事?」

「んー…、そんなとこっ」

「ふぅん?それより、高校楽しみだね」


それそれ。本当ドキドキするー…。


「うん!楽しみ~
 でも、やっぱり不安…かも」

心拍数上昇しそうだー。
愛普通すぎない?!

「わかるー!同じクラスだといいねー」

「だよねー
 愛がいれば多少変なクラスでもいいや」

「何それ」


ぷっと愛が笑う。

そして、

「私のことが、そんなに好きかぁ~」

なーんて言って、「よしよし」と
あたしの頭をなでた。

「そんなこと言って、
 愛もあたしラブなくせにっ」


負けずにあたしも言い返す。


自分より背の高い愛の頭は、
思った以上になでにくかった。





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