クズ系彼女
「お客様、困ります!」
スタッフルームを見てきてくれた店員に引っ張られるも、他の店員が邪魔してくるも、俺は気にせずに進み続けた。
厨房に入ると、暇なのかヒナちゃんと呼ばれた女は男と談笑している。
「おいテメェ」
ズカズカと厨房を進むと、“ヒナちゃん”は嫌そうな顔で俺を見た。
「な、なんですか」
「千葉はどこだ」
「さっき帰りましたよ。彼氏さん、置いて行かれたんじゃないですか?
それよりここ立ち入り禁止です。警察呼びますよ!」
壁を殴る。喚いていた奴らはみんな黙った。
「警察くらい呼びたきゃ呼べ。
で、どこなんだよ」
「だから、帰ったって言ってるでしょ!」
もう一度壁を殴る。さっきより強く殴ると、壁にヒビが入った。
「あいつが俺に黙って帰るわけねぇだろうが。
さっさと言えよ。次はお前を殴るぞ」
「あ、あたしは女子よ!」
「だから何だよ。お前が女だろうが男だろうが老人だろうが、あいつの為に必要ならいくらでも殴る」
店員の胸ぐらを掴んで拳を握る。
店員はじわりと涙を溢した。