クズ系彼女
「ちぇっ、ばれちゃったかー」

頬を膨らませる。

「どこから演技だったんだ」

「どこからって…頭打ってから3日くらいには全部思い出してたよ。
それ以降はぜーんぶ演技。君の理想の、落ち着いてて、素直で、優しい笑顔の女の子をね」

「なんで、そんなこと…?」

「……、君がそんな私に鼻の下伸ばしてたからだよ! クラスの奴らだってそうだ! 私が本当の私でいるよりも、記憶を失った私を望んだ! だから、私はみんなのために演じてやってたんだ!」

声を荒げる。
言い切った後、千葉はフッと笑った。

「大丈夫だよ、明日からも理想の私を演じてみせるさ。演技は得意だからね」

そう言った千葉の頭を、俺は叩いた。
千葉は“は?”って顔で俺を見ている。

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