【BL】極悪執事のご主人様
そんな執事のご主人様
俺の両親は揃って仕事をしている。
事業は成功し、今や大企業となった。
だけどその分、子供に時間を掛ける暇がなく、
物心ついたときには、俺は両親に甘えることが出来なかった。
そんな両親の代わりに、一人の男が俺の面倒を見ていた。
そいつは、出逢った日から飽きもせず、ずっと一緒にいる。
―――俺の執事だ。
「―――おはようございます。そろそろ起床のお時間ですよ。」
「んー…………もうちょっと………」
「ダメです。休日だからと言って、だらけては。」
「別に良いじゃんかぁ…高槻(タカツキ)はうるさすぎるんだよ。」
と、眩しい日差しから逃げるため、布団に潜る。
「早く起きてくださいませんと、朝から襲いますよ。坊っちゃん?」
脅迫とも言える言葉に、俺は飛び起きた。
「なっ、何言ってんだ!と言うか、坊っちゃんって呼ぶな!」
「はいはい。おはようございます、夏紀(ナツキ)様」
優雅に一礼するこの男が俺の執事、高槻 珀(タカツキ ハク)。
背が高く、スタイルが良いし、もちろん顔も文句ない。
漆黒の黒髪が切れ長の目と白い肌によく合っている。
俺の執事なんてしていなければ、きっとモデルとかやっていたんだろうな。
歳は28で俺とは8つ違い。
たった8つとか思うけど、その差は歴然としていて、いつもこいつは俺を子供扱いだ。
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