不機嫌な彼のカミナリ注意報
「どうだ? わかったか?」

「はい。こういう場面でも、ああやって汗とは無縁で綺麗にしてる女性は素敵ですよね」

「違うだろ! 論点がズレてるじゃないか」


 あれ? そうだっけ?と首をかしげた。
 ああ、そうだ。今は清瀬さんが意地悪かどうかという話だった。

 みんながいる方角をただボーっと眺めていると、「えぇ~!」とか、「嘘だろ~?!」とか、キャッキャと盛り上がる声が聞こえてきた。
 すごく楽しそうだから、見ているだけで心が和む。

「緒川さ~ん!」

 そんな中、こちらに走り寄って来る人物がいた。

 ……笹岡さんだ。


< 168 / 328 >

この作品をシェア

pagetop