不機嫌な彼のカミナリ注意報
「体温計はどこにある?」

「たしかそこの引き出しに」

 私がローボードの小さな引き出しを指差すと、風見さんは勝手に引き出しを開けて探した。

「あった。口を開けろ」

 そう言うが早いか、無遠慮にそのまま体温計を口に突っ込まれた。

 風見さんはお医者様には向いていないな。
 特に小児科なんて、子供が泣いてしまうと思う。

 などと想像して楽しんでいる私は、やっぱり熱のせいでおかしいのかもしれない。

 一分経って、ピピピっと電子音が鳴った。
 もちろんのように無言で私の口からそれを抜き取り、風見さんはその表示された体温を確認する。

「………38.3℃」

 そんなに高かったのかと自分でも驚いた。
 ボーっとしたり身体がフラついたのもうなずける。

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