不機嫌な彼のカミナリ注意報
「私、やさしいから風見くんにひとつ忠告しといてあげる」

 口調は冗談っぽいのに、瀬戸の目は真剣だ。

「警戒する相手が違うわ」

「……は?」

「笹岡くんじゃなくて、藤野くんだと思うよ?」

「藤野?」

 藤野は緒川と同期だが……普段からたいして仲良くしているようにも思えない。
 ふたりで話していることはあるが、それが特別のようには感じないのだが。

「あのふたり、なにかあるのか?」

「さぁ? 私もわからないけど。でも、藤野くんが緒川さんに気があることはたしかだと思うよ」

 普段の藤野の様子を思い浮かべていると、瀬戸があからさまにクスっと笑いをこぼした。

< 243 / 328 >

この作品をシェア

pagetop