不機嫌な彼のカミナリ注意報
 今打ち込んでいる分も早く終わらせなければ、「遅い!!」と叱られるのかと想像するだけで気があせってくる。
 だけど風見さんはなにも言わずに、そのまま十五分ほど待ってくれた。

「すみません、すべて終わりました」

 そう告げても風見さんは無言で、プリンターから出てくる用紙をまじまじと真剣に見つめている。

『彼、あんなだけど仕事はデキるんだよ』

 福田部長が言っていたことが、少しわかった気がした。
 たしかに風見さんは、無愛想でぶっきらぼうで口も態度も悪いけれど。

 仕事に対しては真摯で、真面目なだけだ。

 ……いわゆる、仕事の鬼というやつなのかもしれない。

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