不機嫌な彼のカミナリ注意報
 完全に忘れていた。
 再度言われても思い出せないくらいに頭から抹消されている。

 社会人としてありえない。
 そんな自分にゾッとして、一気に顔から血の気が引いていく。

「ふざけんなよ! 忘れてましたで済むか!!」

「すみません、今からすぐ資料に室行ってきます! 本当に申し訳ありません」

 私は自分のデスクの上から風見さんから朝渡されたメモを探し出し、あわてて資料室へ向かって駆け出した。

 あの三人での飲み会から一週間が経ち、週が明けた月曜から今日の金曜まで、私はどこか上の空だった。

 完全に集中力が欠けている。
 そのせいで、先ほどのような誤字脱字のミスが今週から明らかに増えた。
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