不機嫌な彼のカミナリ注意報
「寧々に彼氏ができて……まさかその相手があの風見さんだなんてね~」

 愉快そうにウフフと美里が笑う。
 風見さんを形容する言葉に、「あの悪名高き」と付いていなくて良かった。

「受付でも有名なんだよね?」

「そりゃそうでしょ。あれだけ無愛想にされたら」

 以前に舞花がそう言っていた。

『朝、こっちがおはようございますって挨拶しても、首をちょこんと動かして合図する程度で、まともに挨拶を返してもらったことないんだもん』と。

 たぶん、未だにそうなのだろう。
 毎朝受付でそんな態度を取っているのは容易く想像できる。

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