不機嫌な彼のカミナリ注意報
 興奮気味の真那から逃げるように、私たちは少し早めにランチを切り上げてオフィスに戻った。

 マーケティング部には人がほとんどいなくて静かだった。まだみんなお昼から戻ってきていないみたい。
 そんな中、視界の先に必死にパソコンに向かって作業をする人影が見えた。

 少し近づくと、そこには……

 ―― 今朝、風見さんに怒鳴りつけられていた松本さんがいた。


 あの時、彼女は泣きそうな顔で自分のデスクへと戻って行った。
 きっと、やり直せと言われた仕事がまだ終わらないのだろう。

 だからお昼休み返上で、彼女はあんなにも懸命にがんばっているのだと思う。
 ……大丈夫なのかと心配になってきた。


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