不機嫌な彼のカミナリ注意報
「お昼ご飯、食べた?」

 気がついたら私は松本さんに話しかけていた。

「緒川さん。……はい、さっきサンドイッチをかじりました」

「そっか、よかった。なにか手伝うよ」

 お昼ご飯を食べていないのならかわいそうだと思ったけれど、少しでもお腹に入れられたみたいでホッとした。

 だけど、手伝うと言った私に松本さんは驚いたのか、目を丸くしていた。

「いえいえ。大丈夫です。そんなことをしてもらったら……また風見さんに怒られそうですから」

「大丈夫だよ。風見さんは今いないし。こっそり手伝わせて? 同じチームなんだから」

 私がそう言うと、松本さんは瞳をうるうるとさせてうなずいた。


< 52 / 328 >

この作品をシェア

pagetop