不機嫌な彼のカミナリ注意報
「今度は俺の仕事も手伝ってよ」

「え……でも……私、マーケティング部の仕事はまだ慣れてないですから。手伝えることって言っても、まだ雑用しかお役に立てないですけど」

「なに言ってんの。そんなことないって!」

 こんなふうに言ってくれる人がいるから、マーケティング部の仕事にも早く慣れて、この先もっと同僚とも馴染んでいけるのかもしれない。
 そう思うと、笹岡さんの言葉は本当にうれしかった。


 笹岡さんは早速次の日、私に簡単なデータ入力の仕事を頼んできた。
 前日やろうとしてたものの忙しくて出来なかったらしくて、急ぎの仕事だったから焦ったけれど。

『ありがとう。助かったよ』って言ってもらえたことが単純にうれしかった。

 別に相手が笹岡さんだからうれしいとか、そういうわけではない。

 人の役に立てたことに、達成感やうれしさを感じただけだ。




< 59 / 328 >

この作品をシェア

pagetop