不機嫌な彼のカミナリ注意報
「ま、料理が気に入ったなら良かった。ほら、あれだ……その……こういうときはうまいもんでも食って、忘れることだ」

 とっても言いにくいことを遠回しに言っている感じで、風見さんはところどころ詰まりながらも私に言葉をかけたのだけれど……

 忘れるって、いったいなんのことを言ってるのかわからない。
 今日の、専務のお客様事件のことだろうか。

「男は星の数ほどいるからな。そのうちまた、いいと思う男は現れるだろ」

「………」

 風見さんはなぜか急に話題を変えた。
 今度はなに? なんの脈絡もなく、いきなり恋愛の話をしてきたのかな?

 というか、先ほどからすごく慰められてる感じがするのは気のせいだろうか。

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