不機嫌な彼のカミナリ注意報
 私はスマホを取り出して、“心の恋人”の画像を画面いっぱいに表示させた。
 そして向かいに座る風見さんの目の前にそれを突きつける。

「この人です~~~。あぁ、カッコいい」

「……めっちゃナルシストだな」

「ナルシスト?!」

「だってそうだろ。普通の男がこんな角度で写真撮らねぇよ」

 画面を目にした途端、風見さんは不可思議なものでも見るようにそう言った。
 どうやらちょっとした誤解がおきているようだ。

「違いますよ。彼は俳優なんです。一般人じゃなくて」

< 89 / 328 >

この作品をシェア

pagetop