鈴姫伝説
再び会った彼は
千はあたしの幼なじみだった。
あの頃、あたしたちは凄く仲が良くて。
幸せそうだった。
千が根っからの悪い人には思えない。
絶対なにかがあって、ああなってしまったんだ。
戻したい、もとの優しい男の子に。
あたしの仲が良かった幼なじみに。
必ずあたしが戻してみせるから……。
天界から帰ってきて一週間、あたしたちは魔物倒しに専念した。
魔物は大量に出てきたのに、千は一度も出てきていない。
どうしたんだろう。
姿を見せなくても、魔物は操れるだろうけど。
この前ゆきなを誘拐してから、明らかに様子がおかしい。
そんなことを考えていると、魔物が出ていないのに、なぜか毎日影の世界へ行ってしまう。
毎日の習慣と化していた。
あぁ、もう何でだろ。
千のことを考えていると胸がわずかに締め付けられる。
千が許せないのかな……。
世界滅亡とか……。
真面目に言っているようだから。