鈴姫伝説


目を開くと、そこは森の中……影の世界だ。



「いるよね……」


「あの森の奥から気配がするミュ」


「私が先に行って、氷で動きを止めてくる」


「……お願い」



ゆきなはがさがさと草木を掻き分け、奥へと入っていく。


あたしとミューマはゆっくりとその後へと続いた。



「グオオオォオッ!!」



森の中に響き渡る魔物の怒号。


見つかったのかも……!


ゆきな!



──パキ!!



不安になって駆け出したとき、氷の割れる音がした。


戦ってる……!


走るのがめんどくさくなって、あたしはそのまま飛び上がって木々を蹴飛ばしながらゆきなのもとへと急いだ。





視界が開けると、現れたのは魔物と青い氷。


そして……。














「……千!!」














久し振りに見た彼の姿。


いた。


説得、できるかも……。



けれどなにか様子がおかしい。



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