鈴姫伝説
しばらくすると、闇はズルズルとどこかへ引きずられるようにして空の彼方へと消えた。
……なんだったの……?
しかし安心したのもつかの間。
──バキバキバキッ!!
凄まじい轟音に聴覚を奪われる。
「なに、あれっ!」
次の瞬間、視界に入ったのは空中に浮いた、沢山の木々。
根がキレイに抜けて、土の中からそれが露になる。
あれ、霊力が働いてる!
誰かが操ってるんだ……!
それは、千しかいなくて……。
十数本あるそれは木の先端をこちらに向けたかと思うと……
速度をつけて、あたしたちへと降り注いだ。
「き、キャアァアアッッッ!!」
「お姉ちゃん!!」
「すずかっ!」
──ドンッ!!
「……え?」
肩に当たる衝撃。
しかし優しいそれは……
ゆきなによるもの。
「ゆきなぁっ!!」
叫び声は、木々が倒れる音でかき消されてしまう。
無惨に折れた木の残骸は容赦なくゆきなの上へと降り注ぐ。
「くっ……!」
ミューマがゆきなの前に飛び出すと一瞬で霊力の壁を作った。
パァンと高い音がして、霊力と木がぶつかり合う。
それでもギシギシと軋む木々。
木の雪崩は止まってくれない。
どうして……?