鈴姫伝説
──ザァッ……。
冷たい風があたしたちの間を駆け抜けていく。
捕らえられているのはあたしなのに……。
彼はわずかにあたしに体重を預けている気がする。
触れ合っている場所が熱い。
彼の金の瞳から目が離せない。
あたしはまるで二人の世界に入り込んでしまっているような感覚に襲われた。
なんで……こんなに切なくなるの?
そんな熱っぽい目であたしを見ないで……。
あたしは勘違いしちゃうから……。
しかしそんな時間はすぐに済んでしまう。
再び彼の金の瞳から、光が奪われた。
「……! い、った……!」
さっきまで緩んでいた、拘束する力が強くなった。
彼はまた、豹変してしまった。
「…………」
「はな、しなさいよっ……!」
じたばたもがいても、男の人の力には敵わない。
こんなところで負けてたまるもんか。
千は、戻してみせるんだから……!
絶対に!!
「うあぁあっ!!」
あたしは絶叫しながらなおも暴れる。