鈴姫伝説
また彼になにか変化が起きるかもしれない。
そんな想いを込めて、あたしは叫んだ。
少なからず、さっきキスしてしまったときに様子が一瞬変わった気がしたから。
けれども現実はそんなに甘くはなかった。
千は瞳を冷たく光らせると……あたしを投げ捨てるようにして突き放した。
──どさり。
ニブイ音をたてて倒れこんだあたしは、痛さに顔をしかめる。
「…………!」
「ワケの分からないことを言うな。
俺とお前に接点など……ない」
嘘だよ。
あたしは確かに見たのに。
幼なじみだったあたしたちを。
けれど今の彼には何を言っても意味がない気がした。