鈴姫伝説


暑いしさー……。


今真夏だよ?


歩き回るとか……もう、ムリ!


ゆきなと二人で愚痴り始める。


東京に来るため、すこしおめかしをした服を着た背中に汗がジンワリとにじんでくる。




そのとき、あたしの茶色の革の鞄が中からカパリと開いて……。



「そんなこと言うんじゃないミュ!!」


「っ!わあぁっ!ミューマ出てきちゃ、ダメッ!」



「バレたらどーすんのよ!!」



慌てて鞄の蓋を押さえると、横からゆきなが小声で怒った。


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