鈴姫伝説


「あっ!」


──ゾクリ……。


アクセサリーを持ち上げた瞬間、なにかが身体の中を駆け抜けていく。



アクセサリーはストラップで透明なビーズのついた先に、深紅の鈴がついている。



その鈴がチリンと心地よい音を響かせる。



この鈴……。



後ろを振り返るとゆきなが立っていて、彼女の表情も険しい。



「……これ、ください」


コトリとカウンターへそのストラップを置いた。



金欠だけど……しょうがない!!


苦しいおサイフの口をあけて、確かにムダに高いストラップを買った。



しばらくなんも買えないよ……。




大事そうに包んでもらったストラップを握りしめ、あたしたちは家へと帰った。


扉は結局、見つからなかった。




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