鈴姫伝説
女は少し、面喰らった顔をしてあたしから視線をそらす。
ムカ。
なんなのよ。
それでも、なんとか怒りを抑え、優しく語りかける。
「ねぇ。貴女はゆきなと同じ“鈴”よね」
「……そうだが。なんだ?」
「なにが出来るの?貴女は」
「…………」
すると女はあたしを冷たく見下ろして……。
「仲間でないお前に、言う理由はない」
そうきっぱりといい放った。
あーっ!!
強情なヤツ!!
「せめて名前くらい教えて!
あ、あたしは木村すずか。
すずかって呼んで!」
強張っていた女の顔が一瞬にして固まった。
びっくりしたような顔になった。
でも、ほんとに一瞬のことで……。
また険しい表情へと戻ってしまう。
「戦いについてくれば、信じられるんじゃないかミュ?魔物が今でたミュ」
おぉっ!!
ナイス、ミューマ。
ミューマのしつこさにさすがに断りきれなかった女は、しぶしぶというように頷いた。
説得力を強くさせるには……やっぱこれでしょ!
あたしは手を顔の前で組み、お祈りのポーズをする。
そして目をつぶった。
(変身……)
「ッッ……!?」
──パァアアア!!
黄金の光があたしを包んで、視界を埋め尽くす。
光が形を成していって……。
光が弾けて、あたしは“鈴姫”となる。
瞳を開けば、景色はまだ眩いまま。
その光の奥に女の驚いた顔があった。
そしてギリリ……と歯を強く噛み締めて、口の中で呟いた。
「鈴姫の生まれ変わりなのは、認める……。
でも、仲間にはならない……。
絶対に……!!」
なんでそこまで拒否するの……?
さっき、この人はあたしを主って言ってた……。
なのに、なんで仲間にならないの?
なにか、理由があるの……?